Gross National Happiness (GNH: 国民総幸福)
「国民総幸福量」という考え方は、Jigme
Singye Wangchuck前(第4代)ブータン国王が1970年代に打ち出した考え方で、開発の目的は人々の幸福感であって、経済成長など、その他のものは全てその手段に過ぎないとする。また、物だけでなく心理面を重視していることも特徴である。環境保全、良い統治、平等な社会・経済開発及び文化の保存という4つの柱がある。但し、その指標の開発等はまだ途上にあり、開発のプロセスのモニターと評価のためにGNHを基にしたブータン開発指数(Bhutan
Development Index)を開発中とのことである。 . このことについて、Tashi Choden and Takayoshi Kusago
(2007)では、次のような図を示している。
2011年11月27日に名古屋大学で開かれた「International Symposium at the 22nd JASID National Conference」においてブータン国立研究所長Dasho Karma Uraが行った報告によれば、Gross National Happinessの研究が更に進展し、758の要素の有効性を調査した結果、124の要素が有効と判断されたとのことである。チェックした中身には幽霊の危険などというものまである。これまで、心理面が強調されていると、しばしば言われていたが、心理面(幸福感)は1側面であり、ブータンで言われる「国民総幸福」も、包括的な「開発」を示そうとし、多様な要素で成り立つことが明らかになったと言える。