田舎や地方の暮らし(中央高地)
田舎に電気はありません。燃料は薪です。水道は、首都でさえ本当の中心部などにしなかいので、水源は流水等です。道路は、幹線国道以外、舗装されていません。国道を外れると、道路と言えるほどのものはなく、途中まで四輪駆動車で行き、あとは徒歩になります。
中央高地の景観
中央高地では、植民地時代の終わりまでに、ほとんどの自然林が伐採されてしまったと言われています。マダ
ガスカルでは、多くの熱帯・亜熱帯地方と同じく、田畑の耕作の準備として草に火を入れます。しかし、その管理がきちんと行われないため、野火が頻繁に起こ
ります。中央高地では、田畑になっていないところも草地になっています。これは、自然林が伐採された後、頻繁に野火に焼かれたために、木の芽生えはおろ
か、土中に眠っていた種子までも焼かれてしまったために、森林が再生せず、火に強い草原になってしまったものと思われます。
しかし、家の近くなどには、薪を得るための雑木林が点在しています。
都市への交通
マダガスカルには大型バスがほとんどなく、首都の中だけでなく、地方から都市への交通も、このようなワゴン車ないし小型マイクロバスが担っています。
マダガスカルではインフラ整備が遅れていて、準幹線国道となると、路面や幅員の状態がかなり悪くなります。走れても、スピードは全く出せません。(下の写真は、ムラマンガとアンバトンドゥラザカの間の国道。右の写真は橋です。)
田舎の運搬手段
田舎の運搬手段は、専ら牛車です。マダガスカルの牛の多くは、首の後ろにこぶのあるゼブ牛です。
人の移動には自転車もかなり使われています。中央高地では坂が多いので、変速機付き自転車が一般的です。
また、日本ではサドルの位置を低くしている人がほとんどですが、マダガスカルでは、ペダルをこぐ力が最大になるような高い位置にサドルを調整して、力強
く、かつかなりスピードを出して走っているのが特徴です。マダガスカル人が競輪をやったら、日本人選手は太刀打ちできないでしょう。
地方都市の人力車
マダガスカルの地方都市に行くと人力車がたくさんあります。マダガスカルの人力車は、「プス・プス」と呼ばれます。フランス語の「押せ!
押せ!」が語源だろうと言われています。
マダガスカルの人力車は、歩くのではなく、だいたい走っています。
雑木林
薪にする木は貨幣価値が小さいので、遠くから運搬することにはなじまず、また、太過ぎないことも重要です。そのため、かつての日本と同じように、家または集落の近くには雑木林があります。
雑木林には、伐っても切り株から芽を出して、10年程度位すればまた伐ることのできる状態になる樹種が向
いています。マダガスカル中央高地では、現在は、多くが、オーストラリア原産のはずのユーカリになっているようです。(切り株から芽を出させて林を更新し
ていく方法を萌芽更新(ぼうがこうしん)と言います。「武蔵野の雑木林」がその典型例です。)
雑木林は炭焼きにも利用されています。都市では、煙がたくさん出たり、がさが多いために置き場所にも困る
ので、薪に比べて火力が強く、火力の割りにがさが小さい木炭が燃料として使われます。そのため、田舎や郊外で道路にも近いところで作られた木炭は、都市の
ために売られ、田舎の人にとって貴重な現金収入になっています。
マダガスカルの炭焼きは、伐った木を積み上げ、そこ上に土をかぶせて蒸し焼きにする簡単なやり方をしています。
水汲み
簡易水道さえないので、小川や、そこから土の水路で集落近くまで引いてきた水場から家まで水を運ぶ必要があります。
下の写真は、村の青年海外協力隊員と一緒に水汲みに行った時のものです。
別ページの
ビデオ第1作にも、青年海外協力隊員と一緒に水汲みに行った時の様子がありますので見て下さい。
洗濯
水道もないので、洗濯は川で行います。首都でさえ、中心部以外では、川で洗濯しているのが見られます。
煉瓦造り
降水量が日本の半分程度のマダガスカルの中央高地の建物の多くは煉瓦を積んでできています(上に土を塗っ
て、煉瓦が露出していないのが普通。降水量が多くかつ木が残っている地域に行くと木造になります。)。首都の町はずれでも、田舎でも、水田になっているよ
うな湿地の泥を型枠に入れて形を作り、乾かした後にわらで焼いているのをよく目にします。
森林の草原化に伴う土砂崩れや土壌の侵食と堆積
中央高地の土地は深くまで柔らかく風化が進んでいるようで、森林の草地化に伴い、あちこちで土砂崩れが見
られます。そういったところから流れ出した土砂は、川や湖や水田を埋めつつあり、深刻な問題になっています。(日本政府は、山火事防止を含め、そういう深
刻な問題への対処のための技術協力などを行っています。)
一番下の写真2枚は、土砂で埋まった川を掘った様子です。