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日本とカンボジアのビデオレター交流プロジェクト


新潟大学ビデオレター交流プロジェクトグループ

2010年12月17日
(学生たちの卒業により、この活動は既に停止しています。)

新潟大学ビデオレター交流プロジェクトグループは、途上国と日本の交流について関心を持ち、そのあり方について考える、新潟大学の有志学生によって結成されたグループです。当グループの顧問である宮田春夫・新潟大学国際センター教授の指導の下、日本とカンボジアの交流の計画・実施などを中心に活動を行っています。

2010-11年、自分たちと別の国・地域に住む人々と触れ合うことの楽しさやおもしろさを日本とカンボジアのこどもたちに伝えることを目指し、新潟市の中学校とカンボジアのアンコールワットの近くのバコン村の中学生の英語教室との間のビデオレターによる「顔の見える交流」を行いました。その大まかな流れは、次のとおりです。

(1)中学校、保護者等との協議と了解の取り付け(2010年11月から2011年1月。保護者が撮影に同意しない場合は撮影しない。)

(2)バコン村の中学生たちに向けた新潟の中学生たちからのビデオレターの製作(授業の様子の紹介を含む。)(2011年2月)
(交流を円滑に進めるため、カンボジアの基本情報を紹介する勉強会も行いました。)

(3)新潟の中学生たちからカンボジアの中学生たちに向けたビデオレターの上映(2011年3月)

(4)カンボジアの中学生たちから日本の中学生たちに向けたビデオレターの製作(撮影は2011年3月。その後編集。)

(5)新潟の中学校でのカンボジアからのビデオレターの上映(2011年7月)

(6)カンボジアの中学生たちからの質問に対する新潟の中学生たちからの回答の手紙のカンボジアの中学生たちへの持参(2011年9月)

(7)新潟の中学生たちへのアンケート(2011年7月)

この事業に御協力下さった、新潟市立内野中学校の校長先生、教頭先生、担当の先生、生徒の皆さん、御家族、バコン村の中学生の皆さん、英語教室の先生、孤児院の院長、子供たちに感謝致します。

1.目的

ビデオレターによる「顔の見える交流」を行い、自分たちと別の国・地域に住む人々と触れ合うことの楽しさやおもしろさを日本とカンボジアのこどもたちに伝えることを目指します。

2.背景

(1)カンボジアが抱える問題

カンボジアは1953年にフランスから独立し、国づくりを進めていましたが、1970年から1991年にかけ、内戦や圧政など大きな混乱に見舞われました。特にクメール・ルージュ(Khmer Rouge) (脚注1)が支配した時代(1975~1979年)には少なくとも約170万もの人々が犠牲になったとされています。ポル・ポト (脚注2)政権下では、人権や宗教をはじめ、伝統文化や教育、家族そのものまでが否定され、弾圧を受けました。こうした歴史が生み出した負の遺産は、カンボジアの経済発展を妨げる大きな要因となっています。

特に、長期の国内の混乱に起因する人材の不足は大きな問題です。施設や教師の数が足りず、カンボジアでは多くの学校が二部制や三部制をとっています。初等教育における純就学率 (脚注3)は約89% (脚注4)となっていますが、教育の質という面から見ると、依然として十分な状況とは言えません。

シェムリアップ(図参照)から南東に約13キロ離れたバコン村に、スバエク・トーイ(影絵)の工房を兼ねた小さな孤児院があります。ここでは、早朝と夕方に英語やクメール語の授業が行われており、孤児院のこどもたちだけでなく、近隣に住むこどもたちも勉強しています。多くのこどもたちは学校に通っていますが、前に述べた通り、学校の授業だけでは十分とは言えず、この教室で足りない部分を補っています。現在は英語の授業が中心です。今年の夏には僅か4週間ではありましたが、15歳前後のこどもたちに日本語の授業を行いました。こどもたちは非常に勉強熱心で、日本語だけでなく、日本そのものに対しても興味津々の様子でした。特に、自分たちと同じ年頃のこどもたちが、日本ではどの様にして過ごしているのか、ということに強く関心を寄せています。しかし、現在のカンボジアの状況では、実際に彼らのそうしたニーズを満たす機会はほとんどありません。そこで、今回のプロジェクトを立ち上げることにしました。日本の子どもたちとの交流の機会を持つことは、彼らにとって今後の学習への励みにもなると考えています。

(2)日本とカンボジアの関係

アンコール・ワット等をはじめとする世界遺産は、日本人にとっても、馴染みの深い観光地となっていますが、依然としてカンボジアという国そのものに対する認知度や関心の低さは否めません。また、カンボジアと言うと「内戦」「地雷」「貧困」などのイメージが先行しがちです。しかし、実際に訪れてみると、その文化の豊かさに驚かされます。スバエク・トーイ(影絵芝居)、カンボジアシルク、宮廷舞踊アプサラダンスなど、クメール・ルージュの支配下で一度は完全に破壊しつくされた伝統文化も、多くの人々の手によって再び息を吹き返しました。日本は遺跡の修復や技術協力等、様々な形でカンボジアに対して支援を行っています。

日本ではあまり知られていませんが、日本は主要援助国の中でも、最大の援助供与国です。両国間では要人の往来も活発に行われ、年間多くの日本人観光客がカンボジアを訪れています。また、多くの日本NGOや日本人ボランティアがカンボジアで活動していること、両国間における民間レベルでの交流が徐々に活発化していること等から、特に若い世代では日本に対する興味が高まっているとされています。2005年には国立大学で日本語学科が設立されました。

私たちが想像している以上に、カンボジアと日本は強く結び付いています。カンボジアは、日本人にとって、決して遠い存在の国ではなく、むしろ同じ人類の仲間として、互いに協力しあうべき相手であると考えます。

(3)交流の意義

以上の状況から、日本カンボジア間で交流する機会を作ることが、両国のこどもたちにとってプラスの経験になると考え、本企画を立ち上げました。

今回の交流における意義として、こうした経験が別の国・地域で暮らす人々への理解を育むことが挙げられます。知識のインプットも然ることながら、具体的理解のためには、実体験を通じて得た感覚が非常に重要な役割を果たします。ビデオレターによる交流では、映像を通じて、表情や雰囲気など多くの情報が伝わってきます。書籍やインターネット等から得られる情報とは、また違った面からその国・地域を知ることができます。そこから新たに芽生えた興味や好奇心は、今後の学習への意欲にもつながります。

では、日本で暮らす私たちにとって、外の世界を知ることは何を意味するのでしょうか。私たちは、外の世界を知ること、つまり他者との新しい出会いは、人を成長させる糧になると考えています。人は一人ひとり、違った考え方やバックグラウンドを持っており、そうした他者との関わりの中で、私たちは今まで自分では見えていなかった部分に気付かされることがあります。また、それは時に自身の選択肢を広げる一助にもなります。先進国で暮らす私たちにとって、カンボジアのこどもたちの姿から学ぶことも数多くあるはずです。

また、こうした経験が積み重なることによって、日本カンボジア間だけでなく、アジア地域全体や世界に視野を広げることにもつながります。「グローバル化」という言葉も、私たちの日常生活において、すでに馴染みのある存在となりました。国際化の波は急激な勢いで拡大しており、私たちの日々の何気ない行動が、世界に影響を及ぼしています。そうした時代において、未来を担う次の世代が、国内問題だけでなく、国際的な問題についても目を向けていくことは、非常に重要です。環境問題をはじめとする、様々な国際的な問題では、政府や国際組織の取り組みだけでなく、何よりも国民一人ひとりの理解と行動が欠かせません。多様な価値観や文化との相互理解を深め、世界の様々な問題に関心を持つことは、ひいては社会全体の利益にも結びつくと考えます。

3.活動内容

(1)全体の計画

 以下の4つの活動を1フェーズとし、計画しています。2011年4月までの活動予定です。現段階では未定ですが、2フェーズ目の実施も視野に入れています。

①バコン村のこどもたちに向けたビデオレターの製作

  (※交流を円滑に進めるため、カンボジアの基本情報を紹介する勉強会の実施を検討しています。)

②カンボジアでのビデオ上映

③日本のこどもたちに向けたビデオレターの製作

④日本でのビデオ上映

 両国間のみに限らず、アジア地域全体で民間レベルにおける草の根の交流が広がりつつありますが、依然として、とっつきにくいものであるというイメージが焼き付いているように感じられます。「国際交流」というと、堅苦しい感じがして、思わず身構えてしまいそうです。今回の企画では、そうしたイメージを払拭するために、こどもたちが心から楽しめる交流であることを中心に据えています。交流を有意義なものにするためには、まずお互いに親近感を抱けるようなきっかけを作ることが何より重要であるからです。固定化された価値観や、型にはまったイメージにとらわれることなく、ざっくばらんにメッセージを伝え合うことによって、「顔の見える」交流をより充実したものにすることができます。

そのため、①③の過程では特に、こちらから一方的に指示を出すのではなく、こどもたちと相談しながら、一緒に協力し合って、ビデオレター製作に取り組みたいと考えています。ビデオレターの鑑賞だけでなく、製作の過程も、今回の交流の重要なポイントの一つです。

(2)具体的な活動予定
2010年
12月
・ 計画作成
・ 現地関係者との打ち合わせ
・ 協力機関への打診
・ カンボジア、安全対策等についての関係情報収集
2011年
1月
・ 現地訪問日程案作成
・ カンボジアについての研究会
・ 協力機関との日程調整
1-2月 ・ ビデオ撮影
・ 編集作業
2月 ・ 現地との打ち合わせ
3月 ・ 現地訪問(上旬の約1週間を予定)
・ ビデオ上映
・ 現地でのビデオ撮影
4月 ・ ビデオ編集作業
・ ビデオ上映
・ 報告書作成
(3)映像の取り扱いについて

 今回の交流では、撮影した映像をビデオレターとして編集し、上映会を行い、最終的に記録媒体を相互に交換するという形式をとっています。肖像権の侵害などのトラブルを防止するために、撮影の際は、生徒本人及び保護者の承諾を確認した上で行います。


(注)
1 かつて存在したカンボジアの政党。正式名称はカンボジア共産党。1951年にクメール人民革命党として結成し、1999年頃解散したとされる。
2 本名はサロット・サル(1928-1998)。民主カンプチア首相、クメール・ルージュ書記長。
3 学齢児の在学者数と学齢児童数の比。
4 UNESCO Institute for Statistics, Education in Cambodia, 2008


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