9月21日(水)

国連開発計画(UNDP)の管理する地球環境ファシリティー(世界銀行、UNDP及びUNEPの共同で管理する、地球温暖化、生物多様性保全等に開発途上国が取り組むのを支援するための特別基金)の小規模無償資金協力を実施しているマダガスカルのNGO「FANABY」の残存自然林保護と隣接農家の現金収入向上・農業生産改善のプロジェクト(Projet de Conservation du Corridor Forestier d’Anjozorobe)を見学させて頂く。今年から始まった事業。まずは、農家の現金収入向上等の活動を行っており、その後、農地に隣接する残存自然林の保護区化に取り組みたいとのこと。

プロジェクトは、アンタナナリボから90キロのAnjozorobe(アンジュズルベ。マダガスカル語では、「o」は「ウ」の音になってしまっている。)の先の村で行われている。Anjozorobeは、現在、国道3号線の終点で、ここから先には道らしい道はない。

まず、プロジェクト実施機関のNGO「FANABY」(本部はアンタナナリボ)の現地事務所に立ち寄る。現地のプロジェクト職員は2名。

説明を受けた後、その事務所の向かいの公立小学校を見つけた学生たちの希望を受け、そこにまず立ち寄る。

続いて、流水でえぐられた悪路を行き、プロジェクトに参加している農家に案内をお願いし、具体的なインゲン栽培、堆肥、森林が保護区になった場合の周囲100メートルの緩衝地帯の問題、外国のNGOの寄贈した苗を住民が植えたマツとユーカリの話などを聞く。更に、自然林の中を案内して頂く。最後に、自家製の完熟コーヒーを頂く。「市場に出ているコーヒーは、豆が完熟する前に取って出荷するから癖があるが、うちのは、完熟するのを待って収穫しているからおいしい。」と奥さんがおっしゃったとおりで、まろやか。

アンタナナリボ郊外の様子。
同上
途中、川での洗濯を何回も見た。
このように川は濁っている。
川にはゴミも捨てられている。
FANABYプロジェクト事務所向かいの公立小学校
「FANABY」の現地事務所
同上看板
プロジェクト地に向かう。このように、中央高地では、ほとんど草原になってしまった丘の間の谷が水田になっている。その際上流部と丘の裾部分を畑にしているのが普通。
途中の小さな村では、共同で屋根の葺き替えが行われていた。副村長もその作業を行っていた。
我々の借りたNissan Patrol Safari。後部座席に3名、助手席にも2名乗れる。更に、荷物室にも折り畳み式の座席があり、ここにも4名乗れる。但し、ここにはシートベルトはついていない。
帰路に同上の村の上で撮った写真。すぐ後ろは村のレンガ製造作業。右端は我々の車の運転手さん、2番目FANABY現地事務所の方、3番目通訳さん、4番目FANABY現地事務所の方。
上記の村を通って、プロジェクト地に行く道路。Anjozorobeの国道の終点以降は、この状態。これはマダガスカルでは一般的な状態。実際の状態は、写真から受ける印象よりもかなり悪い。
四輪駆動車を借りる必要があるかどうか、借りる前は多少迷ったが、結果的には、四輪駆動車であったらからこそ行けた。予約しておいた3,000ccの車が無かったために、代わりに4,300ccの車を出してくれたことも幸運だった。これは、レンタカー会社では一番高い車で、運転手になって以来20年間無事故というベテラン優良運転手がついている。
プロジェクトに参加している農家(左)とそのお宅の水田。。
農家の家畜小屋。
畑に植えた苗はシダで覆って保護し、息子さんがジョウロで水をやっていた。大きなジョウロを持った人をよく見かけるので、この辺ではジョウロを使って農作物に水をやるのが普通のようだった。
あぜ道を通って、このお宅の一つ目の現場へ。
タバコは、貴重な現金収入。
プロジェクトとして、御夫婦は、ここにインゲンを植えていた。
奥さんから、ここでは、穴の中に苗を植えて保水効果を高めることを試みているとの説明を受けた。
従来は植物を焼き払った後の灰が肥料になっていたが、焼き払いが法律で禁止されたため、NGOに教わった、わら、家畜の糞等による堆肥を作り、それを与えた部分は成長が良い。
畑と山裾の道との間に植えられているコーヒー。
もう1か所の畑では、穴の中に植える方式ではなく、堆肥を列状に入れ、その上にインゲンを植えてみたとのこと。但し、溝を掘って灌漑するつもりだったが、谷の一番奥にあるここでは水の量が足りず、畑まで届く前に水が地中に浸み込んでしまい、実現しなかったとのこと。
この水田は残存する自然林に接している。自然林が保護区に指定されると、自動的にその端から100メートル以内が緩衝地帯として保護区に繰り入れられるため、そこでは、既存の耕作は続けられるものの、新たな耕作はできなくなるとのこと。
1991-2年頃に外国のNGOが提供した苗を住民たちが植えたという松の林。他に、ユーカリも植えられたとのこと。いずれも、自然林を伐採することなく薪を得られるようにすることが目的であったとのこと。しかし、植えた木の所有を宣言した住民としなかった住民とがあり、宣言した住民は炭を作って収入を得る一方、宣言しなかった住民は何らの措置もとれず、不公平感が生じている。
残存自然林の中。
案内してくれた農家のところに戻る直前。
案内してくれた農家の娘さんたちの行う米の籾殻取り。全身のバネを使ってかなりの体力を要する作業。
息子さんは農作業。
自然林の研究のために学生たちが時々来てキャンプするので、彼らのために作ったというこの家が完成間近になっていた。2室ある。
午後4時になって、アンジュズルベのホテリ(簡易食堂)で昼食。左はマダガスカル・ライス、右は川魚を煮たもの。カップには、炊いた米の残りにお湯を入れた飲み物。スープは、野菜の少し入っただけのもの。肉などの脂っこいものに合うとのこと。ご飯、おかずにこれらを加えた食事は、マダガスカルで一般的な組み合わせ。
ホテルの食事は1人1万アリアリ以上かかるのに、ここでは、7人で食べ、ジュース等の飲み物込みでたった8,000アリアリを少し上回った程度だった。(1アリアリは約17円だった。つまり、7人で食べて約500円だった。日本人にとっても、マダガスカル人にとっても、1食の価値は同じはずだが。)


宿泊先のホテル・サカマンガの中庭でのビュッフェ・ランチの時の領収書。水1,400アリアリ、ビュッフェ13,000アリアリ、イタリアン・コーヒー1.600アリアリ。格安ホテルだが、計16,000アリアリ。(いずれも20%の付加価値是込み。) これで1人分。
アンジュズルベよりアンタナナリボ寄りの道端で行われていた炭焼き風のレンガ作り。周りを草の生えた土のブロックで覆って蒸し焼きにしている。
右は、焼き上がり、上半分の草のブロックを取り除いたもの。
その隣では、アンタナナリボ周辺ではごく一般的に見られる水田の土を固めてわらで焼く煉瓦造りも行われていた。


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